2008年03月28日

「CROSSROAD -VIsitor-」を見た

3/16[日]に「CROSSROAD -VIsitor-」を見てきたので感想を書きます。

●掛井 翔
ロープやウォンドをまじえて壊れた看板を直していく演技。

マジックの現象からではなく自分の表現したい世界観を基点に演技を構成しているのは、演者の個性が感じられて好感が持てる。

演技の中の演目のバランスとしては、ロープの部分が冗長に感じられる。ストーリーを軸にしてマジックをちりばめるスタイルであれば、ロープ部分はもっと短くてわかりやすく鮮やかな現象に絞り込んだほうが散漫になりにくいと思う。

最初の衣装チェンジは「看板の後ろに何かある」感を印象付けてしまうので、今回の演目に取り入れるにはマイナスだと思う。現象としては良いと思うので、看板の後ろ以外の場所でチェンジするようにできないか。

看板の美術は、視認性はよいと思うが野暮ったい。街中に置いてあったら自分が友人や恋人と入りたくなる看板を目指してほしい。

顔や体の表情がもっと豊かになると、より豊かな世界観を観客に伝えられると思う。自分のどんな表情が魅力的に見えるのか研究してほしい。体は前傾姿勢をとっている印象が強く、あまり美しく見えなかった。トリック上の制約があるのかもしれないが、研究してほしい。

●鶴岡 協子
シルクプロダクション。

髪飾りを道具に取り付けて完成形にするといった、自分なりの美しさを体現しようとする姿勢に好感を持った。

衣装の色合いと道具の色合いのどちらも桃色系統と重なっており、互いに埋もれてしまって損だと思う。ファッションにも詳しいマジシャンは「マジシャンの衣装は、道具を持ったときにはじめて完成するようにデザインしています」とコツを述べていた。衣装と道具の配色を研究すると、より美しい舞台になると思う。

シルクのしわが気になった。いろいろ制約もあって難しいと思うが、手入れを心がけるだけでも印象は大きく変わると思う。

●佐藤 雅也,真鍋 利之
ディアボロ。

難易度の高いトリックに挑戦する心意気を評価したい。

表情をあまり変えないスタイルで演じていたが、そのスタイルで演じるにはリカバリーを不要にする、つまり確実にノーミスで行えるトリックだけで演技を構成するか、「クールであっても表情豊か」という高度な演技力を身につける必要があると思う。

●久保田 唯史
スケッチブック。

扱っている題材や衣装、マジカルジェスチャーに本人らしさが出ていて楽しく見ることができた。

全体的に動きが散漫で無駄が多い。特徴のある動きを取り入れて個性を出したいのかもしれないが、現状では個性に感じられるほど身についていないと思う。むしろ大部分は普通の動きで、一部だけ特徴的な動きを取り入れたほうが印象に残る演技になると思う。

ロードなどのシークレットムーブが隠しきれていない部分が目についたので、改善してほしい。

●秋保 賢幸
マスク。

マジックショップで売っているような良くある道具や衣装をあまり使わずに、独自の世界を作ろうとする姿勢に好感を持った。

とはいえ、どちらも耽美な世界観を表現するには安っぽい印象が強い。
特に仮面はマジックの現象として変化を見せる必要から、変化前後でコントラストを出したい意図があるのであろうことはわかるが、デザイン的に衣装と調和しているように思えないことが多かった。どの仮面も「つけた状態で写真に採られてポスターにしても良い」くらいのデザイン性を持たせられれば、より耽美な世界を観客に伝えることができると思う。

動きが全体に硬く感じた。仮面で視界が制限されることもあると思うが、衣装による制限もあるのかもしれない。後者の理由が大きいのであれば、毎日衣装を着て生活して衣装にあった動きを体得するような稽古が有効だと思う。

●植木 將一
シルクと液体のアクト。

落ち着いて堂々とした演技で安心して見られた。あまり見ない道具がいくつかあって面白かった。

衣装としてのタキシードが中途半端な印象を受けた。ハレの衣装であるなら、道具に缶ジュースを使うのは不似合いだと思う。タキシードで缶ジュースを使うなら、演芸場の芸人さんのようなハデな衣装にするなどの工夫があると、調和が取れると思う。

またBGMの選択に演者の意図があまり感じられなかった。

●濱田 純一
ダブプロダクション。

全体的に堂々としておりダブプロダクションという演目に似合っていたと思う。

タキシードで腰を突き出すようなポーズは若干違和感を感じる。どうしてもポーズにこだわりたいなら、もっと遊びのある衣装にしたほうが調和が取れると思う。また、アゴを引いたほうがしまった印象になると思う。

難しい演目をソツなくこなしていると思うが、どれもどこかで見た感じが強く、いまひとつ物足りない印象を受けた。何かひとつでも「どうしてもこれを見せたい」というポイントを作ると、より観客にアピールできる演技になると思う。

●Box and Cox (齋藤 洋一,笠井 慎平)
ジャグリング。

楽しそうに生き生きと演じているのがとてもよかった。ドロップなど明らかな失敗も多かったが、演技の流れを止めずに続けていて、印象はよかった。トラブルを想定した練習を積む姿勢を評価したい。

衣装が中途半端な印象を受けた。もう少し使う色の数を減らしたほうがまとまった印象が作りやすいのではないかと思う。一生懸命な表情がとても好印象なので、ダテめがねなどで顔にアクセントをつけても良いように思う。

●佐野 玉枝
シルクプロダクション、ボールの増加

ドレスを着て舞台に立つ自分のイメージがはっきりしており、その美意識が道具の選定にも行き届いていて、まとまりのある綺麗なステージだった。

一方でトリック上の道具の取り扱いの部分になると「よくあるステージマジック講師の動き」になってしまうのが、ドレスのイメージと不釣合いで印象を損ねているように感じた。いったんトリックのことを考えずに、ドレスを着た魔法使いがシルクを扱うとしたらどんな所作になるのか、研究するとより綺麗なステージになると思う。

●山本 浩之
カード、四つ玉。

高度なスライハンドを安定してこなしており感心した。

音楽のリズムと体の動きが合っていない。また衣装と体の動きが合っていない。スライハンドを華麗にキメるマジシャンを表現するにはどんな音楽とルックスがふさわしいのか、自分なりにイメージを作り出してほしい。

体の周りでこちゃこちゃやっている印象を受けた。スピーディーなスライハンドなので技術的に難しい点も多いと思うが、技術的な制約が少ないところなどで、もっと体を大きく使う場面を取り入れると、印象はよくなるのではないか。

●山田 秀樹,恵美子
和物のアクト。

しっかり統一された世界観を安定して表現していた。堂々と演じていることもあって、安心して見ることができた。

少し猫背気味に見えた。作ろうとしているキャラクターのイメージと違うので損だと思う。

アシスタントがなんとなくつまらなさそうに動いているのが、演者が堂々としているぶんだけ悪い意味で目立ってしまっていた。演者と同じくらい、少なくとも見た目は楽しそうに演じるか、ないしは「堂々とした演者と、つまらなさそうなアシスタント」をうまく活かした演技にすると面白いと思う。

●築地 明,土方 香枝
イリュージョン。

イリュージョンは肉体鍛錬が要求される難しい演目で、今回の演技ではトリックを隠せるだけの最低限の鍛練が不足していると感じた。

また演者の一人を拘束する作業をボランティアに依頼し、その作業が終わる数十秒間を隣で踊って待っているという演出には不快感を覚えた。客席からはボランティアに作業をさせる必然性が理解できなかったからだと思う。「しっかり拘束された」ことを示すことが目的だとしたら、首枷の鍵などの要所の一箇所だけをボランティアに確認してもらうなど、もっと工夫ができると思う。

衣装はもっと研究してほしい。

●浅香 文雄
シルクのアクト。

カメレオンシルクを基点にして演技全体をまとめようとする工夫が面白かった。

マイムで演者にとって意外な事が起こったということを表現するのは上級テクニックが要求されるので、まだ難しいのではないかと感じた。サカートリック的な動きを入れなくても、十分楽しいステージになるのではないかと思う。

トリックの選定に主張があったように、立ち居振る舞いにも自身の美意識を持っているような印象は受けるが、あまり伝わってはこなかった。それを表現するための衣装や表情はどうあるべきか研究するとより自身のこだわりを伝えることができると思う。

●加藤 陽
ウォンド、シンブル。

とてもよい。学生マジックでは現象を詰め込みすぎて観客がついていけないことがあるが、個々の動きが観客の認識のテンポに合わせて調整されていて現象がはっきりわかる。そして不思議。ギミックとスライハンドの組み合わせ方が上手なのだろうと思う。

衣装も演技を損ねず、それでいてスタイリッシュにうまくまとまっていると思う。

シンブルの両手でのカラーチェンジは他に比べて現象がわかりにくかった。握りこんで視界から隠れる時間が長いこと、両手を交差させた状態での示しと交差させない示しが混在することが大きな原因だと思う。前者は技術的なブレイクスルーが必要だと思うので簡単に改善できないと思うが、後者は「変化の前と後では、常に手を交差させた状態(またはさせない状態)で示す」意識を持って手順を再検討すればすぐに良くなると思う。

BGMについては緩急をつける意図があることはわかるが、全体のイメージによくあっているとは感じられない。
一般的にスライハンドの演技の面白さは論理的な要素が強く、情緒的な要素が弱くなりがちだと思う。良い音楽とそれに合った体の動きは、情緒的な面白さを作り出すことができる。
演技にあった音楽と動きを編み出すことができると、いまの演技の中心的な魅力である論理的な面白さを損ねずに、いまはまだ足りていない情緒的な面白さを作り出すことができると思う。

また表情が無表情か微笑みの2種類しかないのも、情緒的な面白さの観点から見るともったいない。魅力的に見える表情はもっと持っているはずなので、もっと積極的に演技に取り入れてみてもよいと思う。

●大森 正太
和傘プロダクション。

演舞のような他の演者が取り入れていなかった要素を入れるような独自の工夫をする姿勢は評価したい。

和服を着たときの体の動きがおかしい。洋服の動きとは違えようという意図は感じられるが、伝統的な美しい動きとはまったくの別物になっている。
同じ演目の演者を何組か見ているが、みな同じおかしな動きをしているところを見ると妙な伝統が作られているのかもしれない。学生の先輩の演技をお手本にせず、日本舞踊や歌舞伎をお手本にしたほうが、より効率的に多くの人にカッコいいと言ってもらえる動きが作れると思う。

----
進行は全体にスムーズで悪くなかった。

フィナーレで主催者と思われる方が挨拶をしていたが、名乗らずに話し始めるのは観客に対して失礼だと思う。「みんな知っているでしょう」といった態度は、仲間だけで行う発表会では仲間意識を高める意義があるかもしれないが、ウェブでチケットを販売するような公演では不似合いだと思う。


posted by こりん at 00:51| Comment(2) | TrackBack(0) | イベント・ショー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
★オンライン友達も沢山作ってコミュ広げて世界中に仲間作ろうっと!
Posted by モ バ ゲー at 2012年01月19日 20:43
もう子供騙しな恋愛には飽きたという大人の方々に利用してもらいたい。煩わしいことは一切省き欲望のみに忠実になる。一瞬聞けば子供の恋愛に感じるだろうけどここに登録している大人の男女にはこの本当の意味がわかっています。わかるあなたも仲間です。
Posted by オトナの即愛倶楽部 at 2012年02月05日 02:28
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。