2006年11月04日

ヘブンアーティストTOKYO2006を見る。

10/28[土]の上野公園でヘブンアーティストTOKYO2006を見てきました。

先週の三軒茶屋でのイベントは「芸を見るぞ」というお客さんが多い雰囲気でしたが、今回は「ダリ展に来たけど込んでて入る気が失せた〜 上野公園散歩して帰ろうか〜 あれ、なんか人だかりができてるな」的なお客さんも多くて、本来の路上パフォーマンスに近い雰囲気だったように感じました。

今回拝見できたのは、別格だったのと、素晴らしかったのと、ツボだったのと、期待と方向性が違って残念なのと、書く気にならないパフォーマーの方々でした。


別格だったのは、やはり中国雑技芸術団。演目は三茶と同じく鞭、男女アクロバット、椅子積み上げでした。

今回は最前列で見れたので、いかにトンデモナイことをやっているのかがよくわかりました。あまりにも鍛え上げられているので、どれも難しそうに見えないのがすごい。

特に椅子積み上げでは、最上段にいるときでも身体がリラックスして見える。でもこういう危険な芸はリラックスして見せるのが必要条件なのだろうと思います。どう見ても危険な状況で演者も緊張していたら、観客の感じるハラハラ感は爽快なものにならず、むしろストレスに近いものになってしまうだろうからです。

マジックで危険術のような演出を使うことがありますが、必要条件を満たしている人はどのくらいいるか、わりと不安です。

パフォーマー4人の最小に近い構成でしたが、いつかちゃんと劇場などでお金を払ってたっぷり見たい内容でした。


期待と方向性が違って残念だったのは、バーバラ村田さん。今回は三茶とは違う演目で、仮面を使ったコンテンポラリー的なマイムでした。どうやら新作の様子。

今回の作品からは路上パフォーマンスで行う意味があまり感じらず、むしろ照明や音響効果がある舞台で見せるのに適した内容のように思えました。舞台空間と客席との連続性や即興性が路上パフォーマンスの大きな特徴だと思いますが、観客との直接のやりとりがないダンスではその特徴を活かしていないと考えるからです。

また表現したい世界がはっきりとしていない印象を受けました。仮面と背中で見せるところのようにドキッとするシーンもいくつかあるのですが、まだ断片的といった感じを受けました。伝わってくるメッセージが少ないので、演技時間が長く感じました。

とはいえ三茶で見せていただいた演目は大好きなので、今後の活動にも注目していきたいと思います。実験的なものも含めて新作を作りつづける姿勢は応援したいと思います。


素晴らしかったのは、チポラタスさん。演目は三茶と同じく、ドラムとアコーディオン演奏にあわせた楽しいジャグリング3人組です。

とてもお客さんのことを丁寧に考えて作られた演目で、今回も楽しく見れました。3人がいつも楽しそうで、ハイテンション。とはいえ画一的ではなく、ちゃんと三人の個性や関係性が表現されているのです。そしてハイテンションなものを見つづけるのは疲れる側面もあるのですが、楽器演奏や、ボランティアの子供とのやりとりなどのシーンを上手く混ぜ込んで、観客が疲れないようにしっかり配慮されています。

参加感を高めるために観客に掛け声をお願いしたり、拍手をお願いしたりする演出は良く見かけますが、彼らのやりかたはとてもスマートで、みんな楽しく声を出し、拍手していました。

ジャグリングは比較的単純な技を中心に構成されているようですが、音楽や台詞やシチュエーションが上手く組み合わせられて、飽きずに楽しめました。パフォーマンスの最後の挨拶も、彼らの個性に良くあった、そして観客も気分よくなれる、洗練された内容でした。

どんな人にもお勧めできる良質のパフォーマーです。見る機会があれば、ぜひご覧になってください。


ツボだったのは、加納真実さん。シュールなパントマイム、演目は準備運動、交際、演歌、キマズイクン。

三茶で一緒に見た友人からお勧めと言われ、パンフレットやウェブページを拝見すると、個人的に好きそうな方向なので、今回のお目当てでした。

感想としては、とてもツボで、ファンになりました。交際したいくらいの勢いです。

独特の雰囲気と異様なキャラクター設定、それらにリアリティを持たせるパントマイムが揃って、昼下がりの公園の一画に「加納の時間」が登場しました。使われているマイム技術は「必要以上に緊張している」とか「その場にいるのに走っている」とか「風で傘が飛ばされてしまう」といったオーソドックスなものなのですが、そのマイムを使う必然性が状況やキャラクターできちんと裏打ちされているため、観客に提供されるのはただの技術自慢ではなくパフォーマンスになっています。

マイムではカバンが空中で止まってしまうとかの演者の思い通りにならない系の演技がありますが「演者はなぜ力任せにカバンを動かそうとするのか」がよくわからないことがよくあります。先を急ぐなら貴重品だけ取り出してカバンは置いておく、カバンが大切なら引っかかった原因を調べる、引っかかったことが楽しいなら他のものも引っ掛けてみる、などなどが「普通の」反応だと思うのですが、なぜかそうはしない。そしてそうしない理由は観客に説明されない。そうなると、その演技はただの技自慢の次元に落ちてしまうと思います。

加納さんの思い通りにならないことに対する反応は、ちゃんとその理由が表現されており、そしてそれがキャラクターの魅力に上手くつながっているため、観客も加納さんを応援したくなるのだと思います。

今回の演技で残念だったのは、最後のキマズイクンです。それまでの演技では加納さんというキャラクターの魅力がうまく表現されていたように思うのですが、キマズイクンだけはその作りこみのレベルが高くないように感じました。もしかすると、最後の演目だけ「加納さん」ではなく、「キマズイクン」を演じていたのかもしれませんが、キマズイクンの印象が加納さんに比べて弱いため、ちょっと明るくなった加納さんのように受け取ってしまいました。キマズイクンのキャラクターをより魅力的にし、加納さんからキマズイクンへの変更がはっきり伝わるような構成があると、もっと楽しめるものになると思います。


他にもファンであるところのジャグラーの目黒陽介さんが芸人仲間さんと談笑しているところを見かけたり(残念ながらパフォーマンスはなしでした)、MEDAMAN-MEDAMANさんの網膜を観察できたり、加納さんのパフォーマンスではお掃除係をやらせてもらったりと、たっぷり楽しめた1日でした。

東京都の(気概を感じさせない)広報を見ると、どうも年に何度かあちこちでやっている様子。他の機会にも見に行きたい気持ちです。


posted by こりん at 00:34| Comment(0) | TrackBack(0) | イベント・ショー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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