別格なパフォーマーは、中国雑伎芸術団。事前のお目当てのひとつでした。
必要以上に不安定な場所で、必要以上に茶碗を頭の上に積み重ねたり、必要以上に筋力を使う姿勢をとったりする芸を披露してくれました。
どう見ても難しいのに、あまりに鍛え上げられているものだから簡単そうに見えてしまう。技量に圧倒される感覚というものを久しぶりに味わいました。
司会者が「この芸はすごい、これは素晴らしい」と連呼するスタイルは不快に思うことが多いけれど、今回は素直にすごいと思えたので、むしろ効果的に感じてしまいましたよ。
好きなパフォーマーは、目黒陽介さん。彼も事前のお目当てのひとつでした。
ジャグリングへの愛情がとても感じられる演技で、好感を持ちました。ちょっとアップテンポな2ディアボロのパートが、演者とディアボロとが一緒に遊んでいるように見えて、お気に入りです。
8月に見たときよりも構成がコンパクトになり、衣装も洗練されて、表現したい世界を実現しつつ、お客さんがジャグリングとして期待しているものにも応えている清々しいパフォーマンスでした。
ジャグリングをしていないときの動きが、まだ洗練されていない印象を受けるのが残念ですが、コンテンポラリーダンスなどを取り入れているようなので、いずれもっと洗練されて隙の無いパフォーマンスを見せてくれると期待しています。
今回パフォーマンスが見れたので、プチファンからファンにレベルアップしました。
楽しかったパフォーマーは、チポラタスさん。
クラウンをもっとカジュアルにしたような雰囲気で、パーカッションとジャグリングを見せてくれました。お客さんの盛り上げ方が上手で、みんな楽しそうに手拍子したり、掛け声をかけていたのが印象的でした。途中で女の子をボランティアにするパートがお気に入り。
そうでもないパフォーマーは、個々の演目に面白いものもあったのですが、お客さんへの接し方に品がなく全体に長すぎて疲れてしまいました。席を立ちたくなったパフォーマーは「下品なことを言って腰を振っていればお客さんは笑う」といった姿勢に見えてしまって、楽しめませんでした。
そして、今回はじめて拝見したパフォーマーで、もっとも素晴らしかったのはバーバラ村田さん。
しっかりしたパントマイムで、ファンタジックな世界を、コミカルに見せてくれました。
第一部の「仮面の男(勝手タイトル)」では、よくある「勝手に動いちゃう帽子」とかのパントマイムをしていたと思ったら、いつのまにかファンタジーの世界に入っていってしまう、導入の丁寧さに感心しました。
第二部の「R&J(勝手タイトル)」は、お客さんを巻き込んでいく設定が秀逸。参加したお客さんの誘導も丁寧で上品で、きっと参加したお客さんにはステキな思い出になったのだろうと、見ているほうもいい気持ちになれるステージでした。
パントマイムでしかできない世界、大道芸でしかできない世界を目指して実現している姿がとても素晴らしいと思います。またぜひ拝見したいです。
無料でこんなに色々見れていいのかしら、という贅沢なお祭りでした。今回は勝手がわからなかったので、むかし三軒茶屋に住んでいて、過去にこの祭りを見たことがあるという友人を誘って行ったのですが、来年はもっと沢山の人を誘って行きたいと思います。
あそこまで超越的だと「自分の技量」といった概念が存在するのかすら疑わしくなってくる今日この頃です。