2006年02月06日

読書:演劇入門

主人公が入ってきていきなり「あぁ、美術館はいいなぁ」と独り言を言う。これがいちばんダメな台詞の例である。

しかし劇作家としては、ここが美術館であることを観客に知らせなければならない。舞台美術などの力を借りずに、台詞だけで話を進めなければならないとしたら… 例えば以下のようにする。

女「いいでしょ、たまには、こういうとこも」
男「まぁね」
女「たまには、ゆっくりしないと」
男「うん」

女「さっきの絵、意外と大きかったね」
男「うん。なんだか、教科書で見るのと、ずいぶん違うね」
女「やっぱり、絵は本物を見ないと」

男「やっぱり美術館はいいなぁ」
女「そうでしょ、来てよかったでしょ」

原則は「遠いイメージから入る」ことだ。遠いイメージというのは…
といった具合に「戯曲を書くこと、演劇を創っていくことのためのハウツー本である」と前書きに書いてある本。「演劇の技術とは「自分の妄想を他者に伝える」技術である」とも。

問題提起として
1.現実世界の「リアル」と、演劇世界の「リアル」は、一見違うもののように思える。それは、どうしてか?
2.演劇世界の「リアル」とは何だろう?また、それがあるとすれば、演劇の「リアル」は、どのように獲得されるものだろうか?
3.なぜ、人は、「リアル」な演劇、「リアル」な台詞が書けないのだろう?人間を「リアル」から遠ざけるものは何だろう?

を挙げて、全体を通してこれらに答えようとする。

コインバニッシュで「リアル」な手つきを追求する私たちですが、さて、セリフはリアルだったのか?
「では、四枚のエースを使った手品をします。スペードのエースは大きいのでリーダーです」
「この封筒には予言が入ってます。すりかえられないように、持っていてください」
「お好きなカードをおひとつおっしゃられてください。なにがよろしゅうございますか?」

マジック世界の「リアル」と、現実世界の「リアル」の違いは?クロースアップとステージとで違いはあるのか?それはなぜか?そもそもマジックでリアルであるべき部分とそうでない部分はあるか?など、考えてみたいと思いました。

演劇入門,平田オリザ 著,1998,講談社現代新書,ISBN4-06-149422-8


posted by こりん at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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